某ファミレスで食事をしていると、隣の席に男性が1人で座りました。
年齢は30代前半でしょうか。これといって特徴のない、さえない人でした。
良くもなく、悪くもなく。ごく普通の成人男性。
彼に抱いたそんな印象がガラリと変わったのは、彼が注文したマグロ丼が運ばれてきた時。
「えっ、なにこれ。マグロ、少なくない?」
料理を運んできた店員さんが固まりました。彼より一回りは年上であろう女性です。
「前に注文したときは、もっと多かったけど」
タメ口で文句を付ける男性客。
「マグロは一人前ずつパックに入っているので、量は変わらないはずです・・・・・・」
恐る恐る対応する女性店員。
「いや、だって見てよ。メニューの写真と全然違うじゃん」
客がメニューを広げて文句を続ける。
「盛りつけの問題かと思います。調理担当に伝えておきます・・・・・・」
店員が低姿勢で対応を続ける。
「はあ~・・・・・・もういいよ」
解放された店員さんは、そそくさと店の奥に戻ろうとします。
そんな彼女に聞こえるような大声で男性客は「カメラに撮っとこっと!」と言いました。
スマホで料理をパシャリと撮影し、そのまましばらく画面を操作。
きっと、彼なりに「ネットで悪評を流してやる」とアピールしているんだと思います。
ご飯を食べながら、彼はバッグから取り出したマンガを読み始めました。
こちらに表紙が向けられていたので、マンガのタイトルが見えました。
そのマンガは何も関係ないけれど、この男性が読んでいるというだけで、なんだか嫌いになりました。
眉間にシワを寄っていたから、もしかしたらこのマンガにも不満を抱いているのかもしれません。
彼を見て、楽しく生きるって大事だなとつくづく思いました。